• home >胆道の疾患 (肝外)胆管癌
お問い合わせはこちら>>
肝胆膵疾患について

胆道の疾患について

(肝外)胆管癌

胆管癌は、肝外胆管から発生する悪性腫瘍です。

原因は不明ですが、胆管拡張を伴う膵胆管合流異常症では高率に胆管癌が発生します。男女比は1.6:1と男性に多く、年齢は60歳代に多くみられますが、胆道の疾患 図5膵胆管合流異常症を伴う胆管癌では平均年齢が若干若い傾向があります。膵胆管合流異常症は、解剖学的に膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性疾患です。機能的に十二指腸乳頭部括約筋(胆管・膵管への逆流を防ぐ筋肉)の作用が合流部に及ばないため、膵液と胆汁の相互混入(逆流)がおこり(図5)、胆道ないし膵に様々な病態を引き起こします。最も問題となるのが胆管癌・胆嚢癌の発生です。このため、膵胆管合流異常症と診断された場合、予防的な手術が必要になります。また、原発性硬化性胆管炎というまれな疾患の5~10%に胆管癌を合併します。

 

1.症状

胆管癌の初発症状の90%が黄疸で、以下腹痛、発熱、食欲不振、全身倦怠感などが続きます。

2.早期癌と進行癌(図6)

胆管の壁は組織学的に(顕微鏡で見ると)、内腔側から、粘膜層(m)、線維筋層(fm), 漿膜下層(ss)、漿膜から成ります。癌は粘膜層から発生しますが、進行すると漿膜側 (外側)に進展します。胆道の疾患 図6早期胆管癌は癌が線維筋層までで留まっているもので、漿膜下層以深に進展したものは進行癌として扱われます。しかし、胆管癌の壁深達度(どの深さまで癌が及んでいるか)を手術前に正確に診断することは困難です。また、早期癌の段階で診断されることはまだ少ないのが現状です。

 

3.進展様式

癌の進展様式には、転移と浸潤があります。転移とは、癌細胞が原発病変(ここでは胆管)とは異なる部位に到達し、同一種類の癌巣を二次的に生じることを言います。浸潤とは、癌が連続的に周囲の他の組織・臓器に及ぶことをいいます。
どの部位の胆管癌にも共通する進展様式として多臓器転移(主に肝転移)、リンパ節転移

、胆管内浸潤(胆管の長軸に沿って浸潤すること)があります。肝門部胆管癌の場合は、肝臓やすぐ近くを走行する肝動脈や門脈へ浸潤しやすい傾向があります。中下部胆管癌では、肝浸潤は認めませんが、膵臓や十二指腸へ浸潤しやすい傾向があります。
4.進行度分類

進行度に応じて、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳa、Ⅳbの5段階に分類されます。胆管癌の進行度は様々な因子の組み合わせで決定されます。具体的には、壁深達度(2.早期癌と進行癌参照)、肝、膵などの周辺臓器や肝動脈、門脈への浸潤の有無、リンパ節転移の有無等で決定されます。

5.治療
① 手術
胆道の疾患 図7

肝門部胆管癌については、1.肝内の胆管への浸潤部を確実に切除するため、2.肝右葉への血流を供給する右肝動脈周囲への浸潤部を右肝動脈ごと確実に切除するため、3.肝浸潤部を確実に切除するため、などの理由から肝外胆管切除に加えて尾状葉(肝門部周囲背側の肝の領域)を含めた肝切除が行われます。肝外胆管切除 胆管切除後の再建法は、空腸を挙上して口側を胆管と吻合(つなげること)して肛門側を空腸と吻合するRoux-en Y法が主に行われています(図7)。最近では、術前門脈枝塞栓術の導入により、右・左三区域切除、右・左葉切除などの広範囲肝切除が主流になっています。術前門脈枝塞栓術で、術前に切除側の門脈枝を塞栓(塞栓物質などを門脈内に詰めて血流を途絶えさせること)することにより、塞栓部肝の萎縮(小さくなること)と非塞栓部肝(残肝)の肥大(大きくなること)が促されます。これにより、残肝の容積を増大させ、肝切除後の残肝機能を保持させることができるため広範囲肝切除が安全に行えるようになります。中・下部胆管癌には、幽門輪温存膵頭十二指腸切除(図8)、肝外胆管切除(中部胆管に限局した癌の場合)が行われます。

② 化学療法(抗癌剤)

化学療法は、手術後の再発予防や手術が困難な場合、再発した場合に行われます。以前は胆管癌に有効な化学療法はほとんどありませんでしたが、近年有効な抗癌剤(塩酸ゲムシタビン、ティーエスワン等)が開発されてきています。副作用は比較的軽度で外来で行うことが可能です。

③ 放射線療法

遠隔転移(肝、肺、骨などへの転移)を認めない進行癌や術後局所(胆管を切除した付近)再発に対して行われます。重篤な副作用の頻度は高くありませんが、病変が広範囲に及んだり胃や腸管が照射野(照射される範囲)に含まれると障害を来たすので施行できない場合があります。

*図表はすべて、MEDICAL VIEW社刊「インフォームドコンセントTool 消化器外科イラストLIBRARY」から引用改変しました。
動画ステーション