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肝胆膵疾患について

胆道の疾患について

胆嚢癌

胆嚢癌は、胆嚢から発生する悪性腫瘍です。原因は不明ですが、胆嚢癌の患者さんの約半数に胆嚢結石の合併を認めることから関連が示唆されています。また、膵胆管合流異常症では高率に胆嚢癌が発生します。男女比は1:2と女性に多く、年齢は60歳代に多くみられますが、膵胆管合流異常症を伴う胆嚢癌では平均年齢が若干若い傾向があります。

1.症状

胆嚢癌に最も多い症状は、右上腹部痛で80%程度に認められます。ついで悪心(吐気)・嘔吐が50%程度にみられ、その他には、黄疸、発熱、体重減少、食欲不振などがあげられます。これらの症状は、合併頻度の高い胆嚢結石によるものも含まれていると考えられます。また、胆嚢結石に対する胆嚢摘出術後に、顕微鏡を用いた病理検査で初めて胆嚢癌と診断されることも少なくありません。

2.早期癌と進行癌(図9)

胆嚢の壁は組織学的に(顕微鏡で見ると)、内腔側から、粘膜層(m)、固有筋層(mp),
漿膜下層(ss)、漿膜から成ります。癌は粘膜層から発生しますが、進行すると漿膜側
(外側)に進展します。胆道の疾患 図9早期胆嚢癌は癌が固有筋層までで留まっているもので、漿膜下層以深に進展したものは進行癌として扱われます。しかし、胆嚢癌の壁深達度(どの深さまで癌が及んでいるか)を手術前に正確に診断することは困難です。また、早期癌の段階で診断されることはまだ少ないのが現状です。

 

3.進展様式(図10)

胆嚢は周辺に多くの臓器が存在するため、進行癌となると多彩な進展様式を示します。肝には直接浸潤(癌が連続的に胆嚢壁内と他の組織・臓器に及ぶこと)することもあるし、胆道の疾患 図10血行性転移(癌細胞が胆嚢とは異なる部位に到達し、同一種類の癌巣を二次的に生じること)をきたすこともあります。周囲のリンパ節転移も高頻度に認めます。癌が胆嚢頚部に存在するとそこから肝十二指腸間膜に進展し、胆管・門脈・肝動脈へ浸潤することもあります。癌が胆嚢底部に存在すると、十二指腸や結腸に浸潤することもあります。

 

4.診断

胆嚢癌が疑われる場合にまず行われるのが超音波検査です。超音波検査では、約半数で腫瘍が描出されます。胆嚢結石が多数存在する場合は、結石によって超音波が減弱してしまうため描出が困難になります。
CTでは、造影効果を伴う不整な隆起性病変、胆嚢壁肥厚として描出されますが、慢性胆嚢炎、胆嚢腺筋腫症などの良性疾患との鑑別が困難なことも少なくありません。最近の機種では高い解像度の画像が得られるため、肝転移、肝浸潤、血管浸潤、膵・十二指腸浸潤はかなり正確に診断できるようになってきましたが、リンパ節転移診断率は低いのが現状です。 MRIは、胆道の立体像を描出することができ、膵胆管合流異常症の有無の確認、胆管閉塞部位の同定に有用です。 超音波内視鏡(EUS)は、内視鏡の先端に超音波探触子(見たい部分に当てる装置)が装着されているため、胆嚢に近接する胃や十二指腸かの観察が可能となります。良悪性の鑑別診断や壁進達度診断に有用で、診断率は80%程度です 。 血液検査では、CEA, CA19-9などの腫瘍マーカーが上昇することもありますが、進行癌でも上昇しないこともあり、補助的に用いられることが多いです。

5.進行度分類

進行度に応じて、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳa、Ⅳbの5段階に分類されます。胆嚢癌の進行度は様々な因子の組み合わせで決定されます。具体的には、壁深達度(2.早期癌と進行癌参照)、肝などの周辺臓器への浸潤の有無、リンパ節転移の有無、肝転移の有無等で決定されます。

6.治療
① 手術

胆嚢癌は多彩な進展形式を示すため多くの手術術式が行われています(下表)。早期癌の場合は胆嚢摘出術で治癒可能ですが、進行癌となると多彩な進展様式を示すことから様々な手術が行われていて、標準術式は存在しません。様々な肝切除、肝外胆管切除(膵頭十二指腸切除)、リンパ節郭清(周辺のリンパ節を取ること)の組み合わせからなる様々な術式が行われています。代表的な肝切除術式は、肝床切除、肝S4a+S5切除、拡大肝右葉切除です(図11)。肝床切除は、胆嚢周囲の肝実質を厚さ2cm程度切除する術式です。肝S4a+S5切除は、肝床切除よりも一回り大きく肝を切除する術式で、左葉のS4(内側区域)の下側とS5(肝右葉前区域の下側)を切除する術式です。拡大肝右葉切除は、右葉と左葉内側区域の一部(肝の60%程度)を切除する術式です。肝外胆管切除 胆管切除後の再建法は、空腸を挙上して口側を胆管と吻合(つなげること)して肛門側を空腸と吻合するRoux-en Y法が主に行われています。

胆道の疾患 手術術式表胆道の疾患 図11

 

② 化学療法(抗癌剤)

化学療法は、手術後の再発予防や手術が困難な場合、再発した場合に行われます。以前は胆管癌に有効な化学療法はほとんどありませんでしたが、近年有効な抗癌剤(塩酸ゲムシタビン、ティーエスワン等)が開発されてきています。副作用は比較的軽度で外来で行うことが可能です。

③ 放射線療法

遠隔転移(肝、肺、骨などへの転移)を認めない進行癌や術後局所(胆管を切除した付近)再発に対して行われます。重篤な副作用の頻度は高くありませんが、病変が広範囲に及んだり胃や腸管が照射野(照射される範囲)に含まれると障害を来たすので施行できない場合があります。

*図表はすべて、MEDICAL VIEW社刊「インフォームドコンセントTool 消化器外科イラストLIBRARY」から引用改変しました。
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