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当科の特色について

当科の特色

当科では、肝臓・胆道・膵臓・脾臓・後腹膜などの腫瘍性疾患を中心に、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な外科治療を提供しています。

肝胆膵領域の手術は、体の深い場所にある臓器や重要な血管・胆管を扱うため、高度な専門性が求められます。当科の大きな特色は、高難度手術に対応する開腹手術と、腹腔鏡手術・ロボット支援下手術などの低侵襲手術の双方における技術と経験を診療科全体で活かし、患者さん一人ひとりの状態に応じた最適な治療を提供していることです。

開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術には、それぞれに利点があります。当科では、特定の手術方法に偏るのではなく、病気の進行度、肝臓の機能、全身状態、ご年齢、これまでの治療歴などを総合的に判断し、患者さんにとって最も安全で効果的な治療方針を検討しています。




高難度手術と低侵襲手術の双方に対応

肝胆膵領域では、がんが重要な血管や胆管に近い場合、広い範囲の切除が必要な場合、過去の手術や炎症の影響で癒着が強い場合など、難易度の高い手術が必要になることがあります。このような症例では、開腹手術による確実で安全な手術操作が重要です。当科では、がん専門施設での豊富な経験を有するスタッフが複数揃っており、動脈門脈合併切除や多臓器合併切除も伴う高難度手術も安全に実施可能です。

一方で、病気の状態によっては、腹腔鏡手術やロボット支援下手術などの低侵襲手術を行うことで、体への負担を抑えた治療が期待できます。腹腔鏡手術やロボット支援下手術では、お腹に小さな穴を開け、カメラや専用の器具を用いて手術を行います。術後の痛みの軽減や、早期回復につながることが期待されます。当院では、膵癌に対する膵頭十二指腸切除や、片肝切除、肝区域切除などの高難度ロボット手術の指導資格を有する専門医が常在し、根治性を担保しつつ、体への負担の少ない低侵襲手術が実施可能です。

肝胆膵腫瘍はその局在やサイズ、浸潤範囲に応じて適応手術は非常に多岐にわたります。当科では、患者さんの病状に応じて開腹手術と低侵襲手術のどちらにも柔軟に対応し、それぞれの利点を踏まえた最良の術式を選択しています。

ロボット支援下手術を含む低侵襲手術

ロボット支援下手術では、執刀医が操作コンソールから多関節の器具を精密に操作します。これにより、通常の腹腔鏡手術では難しい繊細な操作にも対応できる場合があります。

肝胆膵領域の手術では、血管や胆管、膵管などの重要な構造物の近くで細かな操作が必要となることがあります。当科では、ロボット支援下手術の特性を活かしながら、患者さんの病状や手術の難易度を慎重に判断し、安全性を重視した低侵襲手術に取り組んでいます。

 

ICG蛍光法による「見える化」手術

当科では、手術の安全性と正確性を高めるために、ICG蛍光法を用いたナビゲーション手術を積極的に導入しています。

ICG蛍光法とは、特殊な色素と近赤外線カメラを用いて、手術中に腫瘍、胆管、血流などを光で確認する「見える化」の技術です。肝切除では腫瘍の位置や切除範囲の確認に役立ち、胆道手術では胆管の走行を確認することで、胆管損傷などの合併症の予防にもつながります。

また、ICG蛍光法は血流の評価にも応用できます。手術中に臓器や組織への血流を確認することで、切除後に残る肝臓や胆管、消化管などの血流状態を把握し、より安全な手術につなげています。

この技術は、腹腔鏡手術やロボット支援下手術とも相性がよく、より安全で精度の高い手術を支える重要な技術の一つです。

ICG蛍光法を用いたロボット肝切除の画像で、切除範囲を決定しています。

 

大きな肝切除に備えた術前治療戦略

肝臓の広い範囲を切除する場合には、手術後に残る肝臓の働きを十分に保つことが重要です。当科では、必要に応じて手術前に門脈塞栓術を行い、残す側の肝臓を大きく育ててから手術に臨む工夫をしています。

門脈とは、消化管から肝臓へ血液を運ぶ太い血管です。手術で切除する予定の側の門脈をあらかじめ塞ぐことで、残す側の肝臓に血流が集まり、残る肝臓が大きくなることを促します。これにより、術後に肝臓の機能が不足するリスクを減らし、より安全な肝切除を目指しています。

 

複数診療科によるチーム医療と集学的治療

肝胆膵領域の病気では、手術だけでなく、画像診断、薬物療法、放射線治療、内視鏡治療、術前・術後管理など、それぞれの場面で専門的な判断が必要になります。

当科では、外科、肝臓内科、胆膵内科、腫瘍内科、放射線科などの各専門医と連携し、検査結果や全身状態を総合的に評価したうえで、治療方針を検討しています。

複数の診療科が協力することで、患者さん一人ひとりにとって最善の治療を提供できるよう努めています。

実際の治療も、手術のみではなく、術前後に抗がん剤治療や放射線治療を組み合わせる集学的治療を実践しています。

切除不能と診断された腫瘍でも、集学的治療ののちにconversion手術で切除に至る例も増えてきています。初診時点で切除不能と判断されてもあきらめないことが重要です。一緒に治療していきましょう。

 

  • 術前MRI画像では、20cm大の肝細胞癌を認める

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法後の術前CT画像では、著明な腫瘍の縮小を認める。

  • 腫瘍は青点線のところで切除(写真左側)しました。写真右側は検体摘出後の写真です。

 

患者さんにとって最善の治療を目指して

当科では、確かな外科手術の経験と、新しい低侵襲手術の技術を組み合わせ、患者さんにとって安全で質の高い治療を提供することを目指しています。

肝臓・胆道・膵臓の病気で手術が必要と診断された方、治療方針について相談したい方、高難度手術が必要と言われた方も、安心してご相談ください。

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